今日の一冊 「書店主フィクリーのものがたり」

 

本好きの方なら誰でも思ったことがあるのではないでしょうか。

「本屋さんで働きたい・・・」と。

そして、本屋さんにまつわる物語に自然に惹かれるのも、タイトルだけで本屋に関連するものと分かる本を、思わず手に取ってしまうのも、共感いただけるのではないかと思います。

今日の一冊も、お分かりの通り、本屋さんの物語です。

 

ガブリエル・セヴィン著、小尾美佐訳の「書店主フィクリーのものがたり」

 

著者は1977年生まれハーバード大学卒の小説家・脚本家で、2010年公開で堀北真希松山ケンイチ主演の「誰かが私にキスをした」という映画の脚本も手がけたようです。

こちらの本は、2014年に刊行し、ニューヨーク・タイムズのベストセラーリストに数ヶ月に渡りランクインしたそうです。日本でも2016年本屋大賞「翻訳小説部門」を受賞しているので、ご存知の方も多いかもしれません。

島に一軒だけある小さな書店。偏屈な店主フィクリーは妻を亡くして以来、ずっとひとりで店を営んでいた。ある夜、所蔵していた稀覯本が盗まれてしまい、フィクリーは打ちひしがれる。傷心の日々を過ごす中、彼は書店にちいさな子どもが捨てられているのを発見する。自分もこの子もひとりぼっち フィクリーはその子を、ひとりで育てる決意をする。(ハヤカワepi文庫より)

町の人たちとも打ち解けない孤独な書店主が、ちいさな子どもをきっかけに、周りの人たちと繋がりを持ち始めます。

物語に出てくるひとつひとつの点が繋がって、長い線になるのを最後まで見届けて、ようやく彼があの町に居た意味を知れるのです。

本、本屋という場所、本に携わる人々、全てが人と人を繋ぐものであることを感じました。

本書を読んで、「本」は本当に素晴らしい!と改めて思います。

 

少し前に、小説に没頭できないというようなことを書きました。

スマホに手がいってしまうのをなかなか止められませんが、ひとつルールを決めました。

1日30分、本を読む。なんでもいいから、読む。

もちろん30分を超えることもありますし、30分に満たないこともありますが、それでも良しとする。

そう決めたら、いつ、どこで、何を読むか、というのを考えるのが楽しくなりました。

30分なら、人から連絡が来ていても気にならないですし、忙しくてもなんとか絞り出せる時間かなと思うので、今の自分にはピッタリの方法だったなと思っています。

 

ようやくこれで、本に没頭できるようになり、無事に小説を読み切ることができました。

そして小説って面白いとまた思えるようになって、次に何を読もうかとワクワクする気持ちが蘇ってきました。

スマホとの付き合い方はこれからも永遠に続く課題でしょうけど、今のこの気持ちを忘れずに、これからも試行錯誤していきたいです。

そしてきっと、また本屋さんにまつわる本を見つけて読むのでしょう。